何といいますか、消費税増税やTPPを推進する政治家(厳密には官僚なのでしょうが)がいやなのは、

「国民の批判を浴びても、不退転の決意をもって、断固としてやり遂げる!」

などと、妙に自己陶酔チックなヒロイズムに基づいて、「国民に痛みを与える」政策を実行に移そうとすることです。これは、民主党、自民党を問わず、多くの政党の政治家に共通して言える傾向になります。

そんなに自分に酔っているならば、「自分だけが消費税を10%払う!」とでも宣言して、やってみればいいのです。


無論、「国民の批判を浴びても」「国民に痛みを与えても」やり遂げなくてはならない政策というのもあります。例えば、先日の西部塾の番組で、中野先生が仰っていた沖縄返還です。


沖縄返還の際に、アメリカは日本の繊維産業の輸出規制を要求してきました。

沖縄を返してやる代わりに、繊維の輸出を規制しろ

という話です。


繊維産業の輸出規制を実施すると、同産業に従事していた日本国民に「痛みが発生」するわけです。当時の首相は佐藤栄作、「繊維産業」を管轄する通産相は田中角栄でした。

佐藤栄作や田中角栄は、自国の繊維産業従事者に多大な痛み(経営悪化、倒産、失業)を与えなければならないことを承知で、それでも沖縄返還を実現したのです。当然、繊維産業関係者から政府への批判が殺到しましたが、政治家たちは「それでも!」ということで、リスクを受け入れた上で、政治的な判断を下したわけです。

上記の通り、「国民の一部に痛みを与えても!」実現しなければならない政策というのは、確かにあります。国民から大反対を受けて、それでもあえて「日本国民のために」実施するのが、政治家の仕事なのでしょう。


ところが、現在の野田政権が進めている消費税増税やらTPPには、「国民に痛みを与えても!」実現できるものが、さっぱり見えないのです。増税の場合は、単なる名目GDPマイナス成長とデフレ深刻化です。デフレが深刻化すると、政府の租税収入は減りますので、社会保障の原資も増えないという事になります。


さらに、TPPに至っては、農業、サービス産業の従事者に痛み(失業、給与所得減少)を与えて、代わりにいったい日本国民は何を得ることができるというのでしょうか。しかも、TPPは日本の物価下落に貢献しますので、デフレ深刻化の一因になります。デフレが深刻化したら・・・・・、もういいですね。


国民の一部に痛みを与えても、「日本国民のために」実現しなければならない政策があるというのであれば、不退転の決意をもって、あるいは「政治生命を賭けて」実現すればいいでしょう。とはいえ、わたくしには消費税増税もTPPも、それ自体が目的化しているとしか見えないのです。すなわち、「国民に痛みを与えることが目的」となっているわけです。

posted 4ヶ月前