etecoo:

‎”「次世代の子供の命か、お金か」という選択を迫る脱原発には、無理を感じる。一歩踏み込むなら、ムーブメントが自壊するという約束があらかじめ組み込まれているようにすら感じる。「今すぐに、 全部変えろ。権力とノウハウを持ったおまえらが。俺たちはそれを監視しているから」の姿勢に。”

“無理な選択を社会に迫る。しかもリーダーとなる魅力的な「貴族」が脱原発には、いない。いるのは庶民的・テレビ的に共感しやすい「広報係」の人々。デモにも覚悟無しで行ける。だから大多数の人は、現実世界では行かない。ムーブメントに「身を投じる」だけの強い求心力がないのだ。”

“ビデオリサーチの視聴率モニター程度の意見を言えば済む。しかも匿名で。現実世界の中で知り合いや同僚に脱原発を広めて「引かれた」場合、そこをさらにプッシュしてでも議論をする、という「ならわし」は日本社会にない。そのディベートの下地がないこと自体が日本式の経済成長をも支えたという皮肉。”

“一般のたちが決して追いつくことができない教養と才能にめぐまれた変革の提唱者たちが1920年代にいた。彼らをそれぞれの政府は徹底弾圧した。求心力を恐れてのことだった。反対に今、求心力の無さとお気軽さをトレードオフした形で、にわか仕込みの「脱原発」が「拡散してください」されている。”

“なぜ、この新たな「にわか脱原発」が自壊すると推理するのか。それは、文化・政治のエリート運動による変革ではなく、庶民が「お金よりも命」を選ぶことに期待した運動だからだ。正義ではない、とは誰も反論できない。えてしてこういった「正義の膠着」が起きたときには権力を持つ側が勝つ。”

“また、庶民感情に立脚している以上、その庶民感情の不透明な動きに運動は左右される宿命にある。決定的なのは、「普通の人」であればあるほど「自分と同程度の能力かそれ以下のパッとしない奴が正義を振りかざして威張っている」ということに強い嫌悪を覚えることだ。”

“すごく矛盾した言い方だけど、急激な変化を求める運動が成功するために必要な要素は(1)カリズマ。しかも貴族か教養と才能のある上流出身者(2)体制や警察によるリーダー・学生への暴力的で過剰な弾圧(3)現体制を揺さぶることで利を得る海外からの支援(4)マスコミのすぐにばれる露骨な嘘など”

“つまり、大衆の怒りがひたすら蓄積され、同時に新たなカリズマへの人望が強くなっている必要がある。美貌と才能に恵まれたアウンサンスーチーのような人が脱原発を唱え、しかも暴力によって犠牲となり、その後に 美男子の二番手カリズマ登場、とかだとすんなり時代を変える動きが臨界値を越えるだろう”

“以上の主観をまじえた考察から、現在の「脱原発」の勢いは間もなく失速する可能性が大、と見ている。「40年後ならば脱原発は自然の流れでしょう」と妙に納得する人が、ディスカッション無しで定着する可能性も大。そしてまた事故前のような状況へと、なんとなく。「しかたないか」とため息まじりで。”

“自然エネルギー、格差を激しく生み出さない経済理論、一国に引きこもらず世界の問題を積極的に日本から解決しようとするパラダイム、自分の身の回りや生活習慣から社会全体へと影響を及ぼそうというヴィジョン、そして何よりも「変われる。変えられるのだ」という希望が今から根づき始めるだろう。”

“「おまえがちゃんとやらないから、こうなった。こっちは被害者なんだ。お前が変われ。元通りに戻せ。反省し謝罪と賠償をしろ」という感情主体・浅い考え・拡散は瞬間的というセットから、「あなたが変われないのなら、私が先に変わります。納得したらご一緒にどうぞ」というセットへと徐々に進化。”

“ということで、このラウンドの「脱原発」は多分目標を達成できない。だけど、今後の、しがらみや既成概念やぐずついた現状維持に埋没しないジェネレーションに火をつける役割を果たしており、変化は次世代までに着実に訪れるだろう。というのが、ぼくの予測。種は植えられている。”

posted 1ヶ月前