そのテレビ局は、経営努力をする必要がない。何しろ、半強制的に国民から徴収される「受信料」により、一定の収入を「日本国民」から直接的に得ることが可能なのである。
そのため「職員」の平均年収は、諸々の手当が加算された結果、何と1700 万円という高額に達している。とは言え、この数字が世間的に公表されることはあり得ない。
本来であれば、このテレビ局以外の「民放」が、盛大にこの異様な平均年収(何しろ、国民の受信料が原資である)を批判しなければならない。しかし、それはできない構図になっているのである。
なぜならば、各種放送設備(電波塔など)について、民放はそのテレビ局が整備したものに依存して、ビジネスを行っているためだ。
さらに、ワールドカップなどの大イベントの際には、そのテレビ局が大枚をはたいて放送権を得てくれる上、民放各局に優先的に放送をさせてくれるのである。
例えば、ワールドカップの放映権が1000億円だったとする。すると、この莫大な放映権の七割以上を「そのテレビ局」が負担してくれるのである。
それにも関わらず、別にそのテレビ局が七割分の放送枠を要求してくるわけではない。精々、三分の一程度の放送枠しか要求してこないのである。金は出せども、権利は主張してこないというわけで、民放はそのテレビ局が出したお金(とは言え、元々は受信料)の恩恵で、比較的低コストでワールドカップの放映が可能になるわけだ。
そのテレビ局は、本来は営利団体ではないにも関わらず、二桁を超える子会社を保有している。その子会社にテレビ局本体から役員が天下ることもあれば、子会社への制作費支払という形をとり、様々な職員経費が「受信料」から支払われることもある。
また、不思議なことに、非営利団体であるはずのこのテレビ局は、視聴率競争に参加している。そのテレビ局が視聴率を稼ぐことで、明らかに民放のビジネスを阻害しているわけだが、民放側は先の理由もあり、何も物を言えない。
このテレビ局は、総務省の管轄下にある特殊法人である。しかし、現実的にはそのテレビ局は総務省の管理下にはない。
このテレビ局に影響を及ぼすことができるのは、国会の総務委員会のみである。そのため、そのテレビ局は視聴者ではなく、むしろ総務委員会の国会議員の方を向いて事業を展開する傾向がある。
そのテレビ局では普段は内紛が多いのだが、こと自分たちの権利を守るためには、一致団結して立ち向かう傾向がある。職員の不祥事は、まさしく全局をあげて隠蔽しようとする。
あるテレビ局の話である。
